湯田温泉(ゆだおんせん)
湯田の名は、湯がわき出る田地からついた地名であることはもちろんです。 無色透明のアルカリ性単純泉の泉質は変わらず温度も低下せず、湯量も減らず、旅館等30有余の温泉を支え、山陽路随一の泉都を誇ります。
いつごろから湯が出たのかというと、正治2年(1200年)の国衙文書に「湯田」という地名があったことから、少なくとも810年前、むしろそれよりももっと古い時代から出ていたとも言われています。
温泉発見の伝説では、永正年間ごろ湯田の権現山の麓にあったお寺の境内にある小池に、毎晩一匹の白狐が傷ついた足をつけに来ます。不思議に思ったそこの和尚が池の水をすくってみると温かさが感じられました。そこで近所の百姓に池の近くを掘らせたところ熱い湯がわき出るとともに、薬師仏の金像が出てきたので、温泉の守護仏としてお堂を建てたそうです。この仏像を拝んで湯あみをすると難病も治る「白狐の湯」として評判となり、温泉は栄えるようになったという伝説です。
もう一つの伝説では、ひじの痛みに苦しむ大内義興のところに一人の老僧が訪れ、小壺の水を注いだところたちまち病気は回復しました。老僧は「温湯竜泉の地に住む者」と告げ、義興愛用の硯を貰って立ち去りました。その後朝倉の小堂にその硯が置かれていたので、義興は付近の小池に手を浸してみたところぬくみが感じられ、百姓を集めてそこを掘らせました。こうして温泉は発見され、大永5年(1525年)に「温湯山竜泉寺」が建立されたという縁起がそれです。